毎日肌ケアとボディケアなどを行う時に、口腔ケアも大切です。口腔ケアに関しても、いろいろ知識があります。まず、口腔ケアの目的は、口の中を清潔にするだけでなく、歯や口の疾患を予防し、口腔の機能を維持することにあります。お口の働きが低下すると、家族や友人と楽しく食事や会話をすることができなくなりますし、外出したり旅行に行くのも億劫になったりします。すなわちお口の病気やお口の働きの低下によって日常生活や社会生活に支障をきたすことになります。

また、口腔ケアはQOLの向上のみならず誤嚥性肺炎などの全身疾患の予防、全身の健康状態の維持・向上にもつながります。細菌の塊である歯垢は、ムシ歯や歯周病の直接的な危険因子であると同時に、全身疾患を引き起こす菌の温床としての役割を果たす可能性が高いのです。

毎日の歯磨きや入れ歯のお手入れも「口腔ケア」と言えますが、お口の病気を予防することだけでなく、頬・舌・唇などの筋肉の動きや飲み込みのための筋肉の動きを整えることによってお口の働きを維持していくことを「口腔ケア」と呼んでいます。口腔ケアによって豊かな生活と、価値ある人生を送っていただくことが私たちの願いです。

私たちの体には、外部からウイルスや細菌が進入しようとしたときに、異物を侵入させないように防御機能を持っていますが、口の中が細菌で汚れていると、この防御機能の働きが弱まってしまいます。口腔ケアにより、唾液がよく出るような状態にすることや、侵入したインフルエンザウイルスや、風邪の細菌などを洗い流す役割をします。これらの口腔ケアは、高齢者にとって多くのメリットがあります。

口腔ケアにとって、いくつかの利点があります。口腔ケアを行うことで、歯科疾患予防から、口腔機能の向上で健康の維持や増進を行い、生活改善から、食べることの意欲が湧き、最終的に生きることの意欲も増してくるのです。また口臭予防の効果や、義歯不適合などによる発音障害を改善することで、人とのコミュニケーションを取る機会を増やし、社会生活にも好循環をもたらします。